平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
しゃぶ匡は、開業3周年を迎えました。
これまでの3年間を振り返りますと、新型コロナウイルスの感染拡大による厳しい時期ではありましたが、力になり、助けてくれた人々のご協力のおかげで事業を続けていくことができました。
心より厚く御礼申し上げます。
コロナと共に歩んできた3年間ではありますが、「日本一のしゃぶしゃぶ」と過分なお言葉を頂戴するまでになり、評価に身が引き締まる思いです。
しゃぶ匡は、客人のおもてなしから始まりました。
かつて私は、沖縄のためにと志を持って数々の仕事に望んで参りました。
しかし、私の言動が不都合な人々による讒言に苦しめられることばかり。
どんなに身を削って成果を上げても、虚しさだけが増す。
誰のために心血を注いでいるのかわからない。
そんなに日々に、さよならを告げて、山中の琉球古民家に隠ることになったのであります。
山を背負った湿気、鬱蒼とした樹木に覆われた幽霊屋敷のような佇まい。
屋根裏にはネズミ、穴だらけの天井からは虫が降ってくる。
時間だけはありましたから、少しずつ整理していくことにしました。
家を補修して、貴重なものを残して庭を切り開き、好きな花木を植え付け、自分が居心地の良い場所へと変えていきました。
1ヶ月ほど経った頃、「なにかしなければいけない」ことに気が付きました。
夢中になって古民家に向き合い続けることは楽しかったのですが、それだけでは暮らしていけなくなります。
当時、急成長していた民泊。本来の古民家を体験したい人もいるかもしれない。Airbnb(エアビーアンドビー)というサービスで、外国人向けに民泊をやってみようか。
思い立ったら、すぐにやろう。
早速、写真と文言を用意して、サイトに登録して寝ました。
すると、翌朝には数件の予約が入っていたのです。
それからというもの、発展の著しい東南アジア諸国の人々や文化意識の高い欧州の方々と、一つ屋根の下で交流するようになりました。
それは、まさに宝物のような日々。毎日、訪れるゲストが喜んだり、嬉しくなったりすることだけ考えれば良いのです。
ゲストをもてなして、一緒に時間を楽しむのに「しゃぶしゃぶ」は最適でした。掘りごたつで、島の食材や文化のことを話したり、ゲストのことを聞いたり。あたたかい鍋を囲んで、過ごす時間はかけがえないものでした。
11ヶ月という短い運営期間ではありましたが、互いの心に共感できる多くの友人を得ることができました。
そうして、もう一度、社会に出て、生きてみよう。
自分の志に立ち向かってみよう。
そう思える力が湧くようになったのです。
私の望みは、人に良い場所を増やしていくことです。
人に良いと書いて、食。「人に良いこと」こそが食事です。
出会った人々の暮らす街に、人に良い場所を増やしていきたい。
時代が変わり、世の中が大きく変わる中で、「人に良いこと」とは、なにか。
本当に人に良い場所を創る歩みを、着実に進めていく所存です。
どうぞこれからも、ご支援とご厚情を賜りますようお願い申し上げます。